NFTart Now on Sale !

分かりやすい育児・介護休業法(手続き編)

分かりやすい育児・介護休業法(手続き編)

前回に引き続いて、育児介護休業法について説明したいと思います。


1 手続きの基本的な流れ

〇 育児休業の申出(基本)

 労働者は、原則として1か月前までに事業主に対して、育児休業を取得することを申出しないといけません。この場合は、書面が原則ですが、事業主がOKならメールやSNSでも可能。

 書面等には、以下の記載が必要です。その他の事情(育休を撤回して再度取得を希望する場合その事情など)があれば、そちらも記載します。

 ① 申出の年月日

 ② 自分の氏名

 ③ 子どもの氏名と生年月日、続柄

 ④ 休業開始日と終了の予定日

 ⑤ 他に1歳未満の子どもがいれば+③

〇 育児休業の申出(例外)

 次の場合は、申出は1週間前までに短縮されます。

 ① 予定日より早く産まれた

 ② 配偶者が死去した

 ③ 配偶者と別居した

 ④ 子どもの傷病(2週間以上世話)

 ⑤ 保育園等に入れなくなった

〇 事業主の通知

 従業員から育児休業の申出がされた場合は、以下の内容を記した通知書を交付する必要があります。育休の申出と同様に、メールやSNSでも可能です。

 ① 育児休業の申出を受けた事

 ② 育児休業の開始予定日と終了予定日

 労働者に対しては、子どもの出生が分かる書類を求めることができます。例えば、医師の診断書や出生届の受理証明書などです。

 なお、経営上の理由で育児休業を拒むことはできません

 ※労使協定で除外している雇い入れ1年未満の労働者などは除く。

2 休業の期間

 〇 原則

 子どもが1歳になるまで。労働者が指定した期間です。

 〇 例外

 子どもが1歳になっても、労働者またはその配偶者が育児休業をしていて、子どもが保育園に入れない状況であれば、1歳6か月まで取得が可能。さらに同じ状況が続くなら2歳まで。

 育児休業の期間の変更

〇 繰り上げ変更

 1回まで。子どもが早く産まれた、配偶者が病気になった等。1週間前までに申し出る必要があります。これよりも遅れた場合、事業主が開始日を指定できます(ただし、遅れて申し出た日から1週間後までの間に限定されます)。

 

〇 繰り下げ変更(延長)

 1回まで。理由は不問です。育児休業の終了予定日の1か月前までに申し出る必要があります。1歳6か月や2歳までの育児休業については、終了予定日の2週間前までとなります。

〇 その他

 法律上の義務付けではありませんが、育児休業の期間を変更する場合は、労働者も具体的な事情を伝えるようにして下さい。

 会社とトラブルが起こるのは、労使の感情的な対立がきっかけです。

 具体的には、急な変更に係る代替要員の対応や仕事の多能工化などの会社の状況に対し、労働者が考慮していないという主張です。

 ただ、会社としても、当初の期間が変更されないことを前提にするのではなく、繰り下げや繰り上げが生じる事態を想定したケース対応を事前に用意しておく必要があります。


今回はここまでです。 次回は法改正の点やもう少し細かい点を解説します。