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話を聴くということ ①

話を聴くということ ①

〇 まえおき

 労働施策総合推進法という法律によって、パワハラの防止措置義務が、企業にも課されるようになりました。

 パワハラ行為自体は、上記の法律でただちに罰則が科されるわけではありませんが、会社としては、それを防ぐような措置を講ずる義務が生じます。したがって、会社がその措置を怠っていると、民事上の責任が生じる可能性は高まります。

 上記の説明は、別の機会にするとして、例えば、部下や生徒は、パワハラ行為の上司等から、事前に自分の話や弁明を聴いてもらえていない事がほとんどではないでしょうか。裏返せば、そのような行為をする者は、十中八九、他人の話を聴いていないかと思います。

 また、パワハラ問題は別としても、仕事やグループ活動において、部下や後輩が指示を聞かない、理解しない等の問題を抱えていたりしませんか?

 感覚的に皆さんもお持ちかと思いますが、いわゆる組織においては、一方的な指示だけで物事を円滑に進めることは、段々と難しくなっているということです。

 ここから考えられることは、部下や同僚等の話を正確に聴くことが、まずは解決の端緒になるのではないか、ということです。本音や意見の相違、目的をお互いで理解して、共有する、字面にするとシンプルですね。

 さて、今からの説明は、聞く人が聞けば、「当たり前」と思うような内容かもしれません。

 私、mondは「キャリアコンサルティング技能士2級」という開発系の国家検定に合格していますが、これにはカウンセリングの理解や技術についての習得も含まれています。学習して分かったのは、とても人間的で、ある意味シンプルということ。心理学の俗説っぽい、人の心を読むとか、操作するとか、そんな話は基本まやかし(笑)存在するとしても極めて限られた人間しか出来ないのではないでしょうか。

 前置きは長くなりましたが、その、当たり前の説明をします。早速本題。

人のきもち ①

 ところで、自分の話を聞いてくれているかどうかは、見て分かりますよね?上司のところに言って相談しても、パソコンや手元から目をあげない、話を遮ってまとめようとする、何だか話す気はなくなります。

人のきもち ②

 そもそも人は、誰かから指示されたことに対し、無意識にせよ心理的な反発を持ちます。この辺りは、指示する人との距離感で相対化されると思いますが、いずれにしても心理的に大なり小なりの負担になります。

 ちなみに、全くの同一ではありませんが、カウンセリングでも「指示」は、積極的な技法の1つであり、基本的な侵襲性が高いので、軽々に行いません。

 他方、人は、一度自分で決めた事は変えたくないと思う傾向があります。一貫性の法則(立場固定)などと言われたりします。

 自分から進んで行う分には良いけど、親や配偶者から言われると何だか反発しますよね。それやろうと思っていたのに、と(自分)

話を聴くために

 では、話を聴くためにはどうすれば良いか。

 具体的に説明します。一応、わたしの知識・経験則とお断りしておきます。

〇 聴く姿勢 ①

かかわり行動と呼ばれる、

「姿勢」、「目線」、「声のトーン」など。

 部下や同僚から声をかけられたり、もしくは、こちらから話す場合も、

”体をその人に向ける”、”目線を合わせる”、”落ち着いた声で応答する” とてもシンプル。

 ですが、それを常に意識できるかどうかがポイントです。人は忘れやすい。付箋でデスクに貼っても良いでしょう。

〇 聴く姿勢 ②

 まずは感情を確認します。

 人は感情の生き物。派閥争いも、何なら戦争もそんなもので起きます。悲しい、辛い、怒り等、負の感情が無いか、本人の様子や言葉から確認します。

 頭が感情で支配されていたら、他には何も入らないです。入れ物と一緒。まずは中のものを出してから、入れたいものを入れるようにします。自己解決する人がほとんどですが、皆様が何かをすぐに伝えたいなら、まずはその解消から努めて下さい。

 ストレートに聞くというよりは、相手が「辛い」とか、そのままの言葉を出したのであれば、それをリピートして下さい。あなたの評価は要りません(大丈夫だよ、自分もそうだった等)。また、ハッキリとは分からなくても、辛そうな雰囲気の話で、例えば「〇〇で忙しい」等の言葉があれば、「〇〇で忙しくて辛いの?」等と聞いてみてください。

 この後もいくつかの技法を紹介していきますが、私は、この感情への応答が一番重要ではないかと思っていますよ。


 さぁ、話も大分長くなってきました。続きは、また改めて